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2020年3月22日 (日)

倍 音

尺八のことをバンブーフルートと呼んだりしますよね、尺八は竹で出来ているからですわ、

真竹で作ります、

わたしが最近使っている尺八は、節足らずの“地なし継ぎ管”でしてね、見栄えしない管ですわ、商品的には値が付け難い尺八です、節足らずで見栄えしないから、

竹隠管です、山崎竹隠師の作、師はこの竹を弟子に稽古用尺八として使わせておられたようだ、あぁ~、“節足らず”と言いましたが、尺八には7つ節があるのです、7つの節のある竹に音穴を5つ穿ちます、表側に4穴、裏側に1穴、穴を穿つに節の上はむつかしい、根っこ側から数えて7つ節がある竹を使うと、音穴が穿ちやすい、と、歌口(息を吹き込むところ、尺八の際上端)を工作しやすい、

 

わたしは、山崎竹隠師がお亡くなりになった後に、師の奥様・山崎美也師(箏三絃の師匠)に尺八を教わりました、竹隠師にはお会いしたことありません、

竹隠師の奥様の美也先生の三絃で二十歳代の頃、尺八の稽古をしました、合奏する中でアレコレ教わったってこと、地歌ばかり吹いていた、この稽古のなかで、美也先生が「この竹をお使いなさい、稽古竹だけれど…」というて、お手渡し下さったのが、今わたしが使用している竹(尺八)です、もう56年も昔の話になる、わたしはこの竹に“美仙”という名を付けている、

 

美也先生が稽古前に駒(コマ)をアレコレ取り換えて音質を探られる様子をなんども拝見しています、駒の選択で音質が変わってくるのですよね、駒って判るかな?? 洋楽器の例えばバイオリンとかギターなどにも駒は使います、ブリッジと言うたりするようですね、胴の上に立てる小さなツッパリ板のような物、洋楽の弦楽器は大概そうたびたび取り換えたりしないのじゃないの?? が、地歌三味線のコマ(駒)は四六時中取り替えますよ、その日の天候とか、これから弾く曲によって取り換えたりする、倍音ですわ、倍音への感性が、洋楽と邦楽とでは大きな差があるのです、

 

稽古場はお住いの2階の仏間だった、仏壇があった、床の間に調律済の箏が数面立てかけてあった、美也先生はわたしが律を外して吹くと、ダメです、と、律外れを鋭く咎められた「ほら、そこのお箏が鳴らないでしょうと…」と、言われて、初めて床の間に立てかけてある箏が律が合うと共鳴することを知りました、ビックリしているわたしに、ホラ、お仏壇の木魚も聴いていますよ…」とおしゃった、なんと木魚も調律されていて、「叩いてあなたの吹く尺八の律と合っているかどうか確かめてごらん」と、言われたりした、風鈴が板間にふら下がっとった、コレもです、

 

思い出すなぁ~~、あの頃は、わたしも純粋だった、

最近は五線譜曲を吹いて遊んでいるのだけれど吹いていて、時に尺八音に倍音が混じるのが邪魔になったりする、澄み切った音にならんのが気に掛かったりする、倍音はある種の雑音ですからね、が、日本人はこの雑音が昔は大好きだったのです、わたしの尺八は純粋音が出るように作られた管ではない、むしろ倍音を大切にした昔作りの雑音楽器ですのでね、

 

 

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